花火史blog Written by 花火歴史家

みんなで作る花火プロジェクト

花火

はじめに

いろいろな事情で全国的に花火を楽しむ機会が減少していると聞きました。

花火を取り巻く環境に詳しいわけではありませんが、この記事に興味をもっていただいた全ての方に提案させていただきます。

この記事が、花火の歴史を繋げていく一助となれば幸いです。

目的

花火の歴史を繋げるためには花火と触れ合う機会を増やす必要がある、との考えから次のプロジェクトを考えました。

触れ合うという表現は、「見る」だけではなく、「参加する」や「携わる」が大切だと考えたからです。

参加するや携わるとは、例えば運営委員会の一員として活動するということになるでしょうか。

しかし、私の目に止まったのは「学校の理科室」です。

どういうことか?

花火は火薬であり、その扱いには制限があります。

しかし、学校の理科室という特別な場所であれば、理化学上の実験として少量の火薬を扱うことができます。

火薬類取締法第4条では、火薬類の製造は原則として許可を受けた者でなければ行えないとされています。

ただし、理化学上の実験や鳥獣の捕獲、射的練習、医療用に供するための火薬類については、通商産業省令で定める数量以下であれば無許可で製造できる例外があります。

少量の火薬で何ができるのか?

花火を作るのではなく、花火に使う火薬の配合試験をします。

花火は金属粉が燃焼するときの炎色反応を利用しており、花火の色は使用する原材料の比率により決められます。

炎色反応の色は、試験用のバーナーで燃焼させることで確認できます。

実験の初期段階では火薬は扱わず、炎色剤の燃焼試験になります。

求める色を出すには原材料の配合比率を調整し、実際に火薬を燃焼させる試験が必要です。

実際に火薬を燃焼させますが、試験だからこそ扱う火薬は少量です。

試験するということが「参加する」や「携わる」に該当します。

その後、どうするの?

試験から得られた配合比率で花火を作ってもらいます。

花火を作るには資格と施設が必要です。学校では作れません。

花火製造会社に完成した配合比率のデータを渡し、製造可能かどうか検討してもらいます。

製造が難しければ再試験、製造可能であれば花火会社に花火を製造してもらいます。

作る花火の選択種
・手持花火
・仕掛花火
・打上花火

できあがった花火を楽しもう

このプロジェクトの仕上げとして、花火会社に作ってもらった花火を楽しみます。

自分たちが実際に試験した花火、言い換えれば「自分たち専用の花火」を楽しみます。

手持花火は自分たちで火をつけて楽しめますが、仕掛花火や打上花火は花火会社に火をつけてもらいます。

楽しむためのイベントの企画や準備、そして後片付けまでをプロジェクトとしても良いかもしれません。

どのようなイベントにするかによって、作る花火の種類も決まってくると思います。

懸念事項

学校での試験に対して安全性を心配する声が上がる可能性があります。

安全に関する講習やガイドラインの策定をしても、実際の事故リスクが完全に排除されるわけではありません。

安全管理に関する各種ガイドラインを整えた上で、学校側との検討会が必要です。

花火の歴史を繋げる

特別な体験プログラムは花火に対する理解と興味を深めることができます。

興味、関心を持ってもらうことが、花火の歴史を繋げていくためには重要です。

みんなで作る花火プロジェクト

1. はじめに

日本の花火
400年以上の豊かな歴史があります

現在の課題
①花火を打ち上げる機会が減少傾向にあります
②花火技術の継承者が減少傾向にあります

このプロジェクトの目的
1. 日本の花火文化を次世代に継承する
2. 子供たちに化学の魅力を伝える

2. プロジェクトの内容

実施内容
1. 学校で花火の色彩に関する実験を行う
2. 花火会社に花火を製作してもらう
3. 花火を楽しむ

特徴
・学校教育と日本の花火を融合させる
・生徒、教員、花火職人が協働する
・地域全体で花火を楽しむ機会を創出する

3. プロジェクトの流れ

①[学校での実験] 生徒
②[花火の色彩決定] 生徒
③[花火の製作] 花火業者
④[花火を楽しむ] 生徒、地域
⑤[振り返りと意見交換] 生徒

①[学校での実験] 生徒

詳細説明
1.学校での実験(生徒)
・安全に配慮しつつ、様々な色彩を作り出す実験を行います
・色彩の化学的原理について学習します
炎色反応

2.花火の色彩決定(生徒)
・実験結果に基づき、製作する花火の色彩を選定します

3-1.花火の製作(生徒)
・花火の製作過程を勉強し、理解を深めます

3-2.花火の製作(花火業者)
・選定した色彩の配合比を伝え、花火職人に花火を製作してもらいます

4.花火を楽しむ(生徒、地域)
・学校の行事や地域のイベントなどで、製作した花火を楽しみます
・生徒が花火の特徴について解説を行います

5.振り返りと意見交換(生徒、地域)
・成果や改善点について意見を交換します

4. このプロジェクトで期待される効果

1.化学への関心向上
・化学分野への興味喚起
・データ分析能力の向上

2.日本文化への理解深化
・花火の歴史と技術への理解促進
・伝統文化を尊重する姿勢の醸成

3.地域コミュニティの強化
・世代を超えた交流の促進
・地域行事の活性化

4.キャリア教育の一環
・花火職人の仕事への理解
・化学技術関連職業への関心喚起

5. 安全対策(案)

・詳細な安全ガイドラインを策定
・専門家による安全講習を実施
・少人数グループでの実験を行い、教員が監督

必要となるガイドライン(案)
・法令遵守
・安全管理
・取扱の制限
・廃棄物管理

6. 年間スケジュール(案)

4〜6月 準備期間
企画検討、安全ガイドライン作成、資金調達

7〜8月 試験的実施
小規模実験、フィードバック収集

9〜2月 本格実施
全学年での展開、学校行事や地域イベントでの花火

3月 評価期間
成果検証、改善点の検討

7. 予算計画(案)

必要予算: 年間50万円

予算内訳
・実験器具・材料費: 15万円
・花火製作委託費: 20万円
・行事運営費: 10万円
・安全対策費: 5万円

資金調達方法
・教育助成金: 25万円
・企業協賛: 15万円
・PTA・同窓会寄付: 5万円
・クラウドファンディング: 5万円

8. 課題と対策

安全性の確保
・専門家による安全講習の実施
・詳細なガイドラインの策定
・段階的な実施

カリキュラム
・総合的な学習の時間の活用
・教科横断的なアプローチ

持続可能性の確保
・中長期計画の策定
・成果の可視化と共有
・地域連携の強化

9. 将来展望

1.全国展開 他校での同様の取り組み促進
2.国際交流 海外の花火文化との比較学習
3.技術革新 環境に配慮した花火の研究開発
4.職業体験 花火関連企業でのインターンシップ機会の創出

10. まとめ

・日本の伝統文化への理解が深まります
・学校、地域、企業の協働による取り組みです
・生徒の将来につながる教育活動です
・日本文化の保護と発展に貢献します