明治時代の花火「彩雲三つ玉」を読み解く｜技藝百科全書より
彩雲三つ玉とは？
「彩雲三つ玉」は、青・赤・黒などの色玉をそれぞれ1つずつ使用し、空に色彩豊かな雲を広げるような演出を行う花火です。
明治22年刊行の『技藝百科全書』には簡潔ながらもその魅力が詰まった記述があります。
製作構成と手順
1. 基本構成
- 青・赤・黒の色火薬をそれぞれ1玉ずつ使用
- 玉の形は丸型でも長型でも可
- できる限り多くの玉を入れることが推奨されている
2. 配置と演出の意図
- 色の配置は視覚的効果を意識して行う
- 打ち上げ後、3色が順に現れることで「彩雲」を演出
現代との比較・考察
現代の花火でも類似した演出がありますが、明治時代の「三つ玉」はより素朴かつ明解な構成。
「推して知るべし」と記されているように、当時の職人の技術や経験が大きくものを言ったと考えられます。
参考文献
- 『技藝百科全書 第五編』
- 著：内山正如・野口竹次郎
- 発行：博文館（1889年）
原文（技藝百科全書より）
▼ 原文を表示する
彩雲三つ玉
既に雲は第十九雲類の部において示したるが如し。
彩雲三つ玉とは青赤黒など各一個ずつに詰め、打ち上げるなり。
玉は丸長何れにてもなるべくたくさん入れて良し。
他はみな推して知るべし。
次回は「源平布引瀧」をご紹介します。紅白が織りなす明治の花火演出、どうぞお楽しみに。