花火史blog Written by 花火歴史家

明治時代の花火「晴夜三匹龍変光」を読み解く|技藝百科全書より

歴史

晴夜三匹龍変光とは?

「晴夜三匹龍変光」は、白焔星の光の中に3匹の龍が現れ、その後、紅・白・青や黄・緑・紅といった三色に変化する花火です。
変化する光と動きが合わさった、非常に華やかな演出を持ちます。

製作構成と手順

1. 基本構成

  • 白焔剤を衣掛けした「晴夜」を多数使用
  • 3匹の「遊龍」を内部に仕込む
  • 各龍は時間とともに色が変化するよう構成

2. 晴夜の準備

  • 白焔剤を砕いて衣掛けし、光の演出とする
  • 火花ではなく白い光で始まる構成

3. 遊龍と変光の仕込み

  • 遊龍の内部に龍剤を詰め、さらに変光剤を追加
  • 3匹の龍が異なる色に変化するように設計

4. 詰め方の注意

  • 詰め方は「昼揚げ・第三部」と同様
  • 均一な配置と、発光・変化の順序が重要

現代との比較・考察

現代でも三段階に変化する花火はありますが、明治期にこれを実現していたことには驚きがあります。
発光から色変化、動きの順序と仕掛けに至るまで、職人の緻密な計算が感じられます。

参考文献

  • 『技藝百科全書 第五編』
  • 著:内山正如・野口竹次郎
  • 発行:博文館(1889年)

原文(技藝百科全書より)

▼ 原文を表示する

晴夜三匹龍変光

まず数十の白焔星を現し、三匹の遊龍この内に出つるなり。
この三匹の龍は、しばらくして紅白青或いは黄緑紅等の三光に変ずるなり。
これを晴夜三匹龍変光と称す。
全て晴夜と称するは白焔剤の詰め砕きにしたるものを用ゆ。
故にこの煙火にも衣掛けしたる晴夜をたくさん入れ、また後に変光すべき様作りたる龍を入るるなり。
詰め方全て昼揚げの部の三に同じ。
変光すべき龍は龍剤を詰め終り後に変光すべき適宜のものを詰め置くなり。

次回は「柳に三光遅れ咲き」をご紹介します。変化と余韻の共演をお楽しみに。