明治時代の花火「銀山」を読み解く|技藝百科全書より
銀山とは?
「銀山」は、明治時代に作られた花火のひとつ。
開いた瞬間は一般的な菊のように見えますが、やがて銀色に変化する美しい演出を特徴とします。
製作構成と手順
1. 銀山剤の工夫
- 銀色を表現するために鉄粉を使用
- 鉄粉は何度も焼いてから使用され、発色が徐々に現れる仕組み
- すぐに銀にならず、時間差で輝きが現れるのが特徴
2. 詰め方
- 花火玉の詰め方は菊と同じ構造
- 構造を均等に整えることで美しく開花
- 発色と構造のバランスが重要
現代との比較・考察
現代の銀色花火はアルミニウムを用いることが多いですが、明治の「銀山」は焼成技術と素材の工夫で発色を作り出していました。
火薬の性質そのもので色を表現する、まさに職人芸といえる設計です。
参考文献
- 『技藝百科全書 第五編』
- 著:内山正如・野口竹次郎
- 発行:博文館(1889年)
原文(技藝百科全書より)
▼ 原文を表示する
銀山
銀山はその初めはほとんど菊の如し。
暫時にして銀色に変じて見ゆるなり。
これは銀山剤を製するに鉄粉をしばしば焼き用ゆるが故に銀色直ちに現われさるなり。
詰め方は菊と同じ。
次回は「武蔵野の月変化戯れ龍」。風景と動きが融合する、物語性の強い花火をご紹介します。