花火史blog Written by 花火歴史家

花火を作るために必要な資格を紹介。【取って役立つ資格とは?】

花火

花火作りに必要な資格を知っていますか?本記事では花火作りに必要な資格の紹介をします。その資格は花火職人として就職するにも有利な資格だと思います。これから花火職人として就職したい人や、転職を考えている方は是非ご覧ください。

この記事は、
「花火作りに必要な資格を知りたいな」「資格がないと作れないのかな?」という方に向けた記事になります。

ちなみに私が取得している花火に関する資格はこちらです。

火薬に関する資格
・火薬類取扱保安責任者 乙種
・火薬類製造保安責任者 丙種

原材料に関する資格
・危険物取扱者 乙種1類
・危険物取扱者 乙種2類

資格を取得したことで、火薬に関する知識と薬品に関する知識がつきました。
火薬を取り扱う上で必要なのは当然ですが、危険予知や危険回避という観点から考えても必要な知識だと思います。

※お詫び
この記事を書いているのはただの花火好きです。

こんにちは。花火歴史家です。
1998年から花火好き。花火の歴史を調べています。花火がhanabiとして世界共通語になる日に向けて活動中。

この記事は「花火の歴史をつなげていくには花火を作る職人が必要」という考えから、花火職人を目指す人の後押しができればという思いで書きました。

火薬を取り扱うのに必要な資格について

花火は火薬です。
花火を作るのに必要な資格は「火薬類取扱保安責任者」と「火薬類製造保安責任者」という火薬に関する2つの資格になります。

※資格を取れば自宅で花火が作れるという訳ではありません。花火を作るには、許可を受けた専用の製造施設が必要です。

火薬に関する資格について説明

資格の名称から察しがつく人もいると思いますが、それぞれの目的に合わせた資格になります。
・「火薬類取扱保安責任者」…火薬類を扱うために必要な資格(以下:取扱)
・「火薬類製造保安責任者」…火薬類を作るために必要な資格(以下:製造)

「取扱」について

火薬類取扱保安責任者は甲種と乙種の2種類に分かれており、取り扱える火薬量が違います。

貯蔵する場合
・甲種…1年間に20t以上を扱う火薬庫に必要
・乙種…1年間に20t未満を扱う火薬庫に必要(甲種でも可)

消費する場合
・甲種…1ヶ月間に1t以上を消費する場合に必要
・乙種…1ヶ月間に25kg以上1t未満を消費する場合に必要(甲種でも可)

「製造」について

火薬類製造保安責任者は甲種と乙種と丙種の3種類に分かれており、製造できる火薬量が違います。

・甲種…1日に1t以上の火薬を製造する場合に必要
・乙種…1日に1t未満の火薬を製造する場合、300kg以上の煙火を製造する場合に必要
・丙種…1日に300kg未満の煙火を製造する場合に必要

火薬類の試験について

「火薬類」の試験について少し触れますと、試験は年に1回で毎年9月上旬頃です。
「取扱」と「製造」の2つの資格を取ろうとすると最低でも2年かかりますので、そのことを見据えて計画的に試験を受けましょう。

試験の難易度は「取扱」が上だと思います。どちらから取るかはお好みでどうぞ。

ちなみに試験内容は、ダイナマイトなどの産業爆薬も含まれます。この資格を取ったからといって、花火のプロフェッショナルになれる感じではありませんでした。

大切なこと

ちなみに、「取扱」と「製造」の資格があればどこでも花火を作れるという訳ではありません。
花火を作るためには火薬類取締法に沿って作られた専用の施設を整え、製造するための許可をもらう必要があります。一般的な住宅や車庫、物置小屋などで作ることは禁止されていますのでお間違えの無いように。

原材料を扱うのに必要な資格について

花火の原材料として取り扱う薬品には危険物が含まれます。危険物を取り扱うので危険物を取り扱う資格が必要になり、その資格が「危険物取扱者」です。

取り扱う量が少ない場合は必ずしも必要な資格ではありませんが、危険物に対する知識は必要だと思います。

危険物の資格について説明

危険物取扱者の資格には「甲種」「乙種」「丙種」3種類があります。その中でも「乙種」だけは「乙種 第1類」~「乙種 第6類」の6種類があります。各種・各類の違いは、取り扱える薬品の種類の違いです。

花火の原材料を取り扱うのに必要な資格は「乙種 第1類」と「乙種 第2類」になります。
ちなみに「甲種」は全種・全類を取り扱える資格なのでこの資格を取っても良いですが、難易度はとても高い資格です。

「乙種 第1類」について

花火の原材料のうち「硝酸塩類」や「過塩酸塩類」が第1類の危険物に属します。

・第1類…酸化性固体
可燃物と混合すると、加熱・衝撃・摩擦により、発火・爆発の危険性がある。
(第2類と混合すると危険ですよ、ということ。)

「乙種 第2類」について

花火の原材料のうち「硫黄」や「金属粉」が第2類の危険物に属します。

・第2類…可燃性固体
酸化剤との接触や混合、打撃などにより爆発する可能性がある。
(第1類と混合すると危険ですよ、ということ。)

危険物の試験について

危険物の試験は、東京都ならほぼ毎月、その他の道府県でも年に最低2回は実施されています。「火薬類」の試験に比べると挑戦できる回数も多いので、取得しやすい資格と言えますね。

本当に資格が必要か?

資格は必要だと思います。
いつから資格が必要かと考えると、これから花火工場に就職したいと考えている人と、これから花火工場を自分で作ろうと考えている人では変わってきます。

花火工場に就職する場合

花火工場に就職する場合は、とりあえずは資格を持っていなくてもOKかと。
理由は、その会社にいる資格を持った職人さんの監督・指導のもと作業をするので、取り扱う本人が資格を持っていなくても火薬を安全に取り扱うことができるからです。
火薬を取り扱えないのは、法律で制限されている18未満だけです。

とはいえ、資格が不要な訳ではありません。
火薬を作るための原材料として「危険物」配合して「火薬」を作り、その火薬を使用して「花火」を作るので、花火職人として花火作りをするのであれば資格と知識は絶対に必要だと思います。

就職先の花火会社に相談して、順番に取得していきましょう。

いずれは資格を取得することになるのであれば、就職前に資格を取得しておくという選択種もあります。

花火工場を自分で作る場合

花火工場を自分で作る場合は、全ての資格を自分で取得しましょう。

「火薬類」も「危険物」も取り扱う量によって必要な資格に違いが出てきますので、しっかりと調べてから試験の申し込みをしてください。

花火を作るための資格と花火を作るための施設が揃い、製造の許可がもらえれば花火を作ることができます。
自分の花火工場で花火を作れると考えたら、ワクワクしますね!

まとめ

簡単にまとめてみます。

・花火を作るために必要な資格は「火薬類取扱保安責任者」と「火薬類製造保安責任者」の2つ。

・花火の原材料を取り扱うために必用な資格は「危険物取扱者 乙種1類」と「危険物取扱者 乙種2類」の2つ。

・これらの資格は就職前から絶対に必要な訳ではないが、いずれは必要。

・花火工場を自分で作る人は全部の資格が必要。

職人の世界は資格が全てではなく、経験やカンが物を言う世界です。資格を取得したからといってキレイな花火が作れるというものではないでしょう。

だからと言って資格や知識が不要な訳ではありません。過去の花火作りにおいては、使用する薬品や火薬の性質についての知識が無いがために起きた事故があります。

日本の伝統文化として継承され、さらなる進化を続けている日本の花火を、次の世代、次の時代につなげていくためには、花火は安全である必要があります。

資格が全てではありませんが、花火作りの第一歩は資格を取得して基礎知識を付けることだと思います。知識を付けるための資格であり試験だと思うので、試験にチャレンジしてみましょう。

ちなみに資格取得へ向けた第一歩は、試験の申込みです。試験の申込期限を過ぎてしまうとショックなので、資格名の確認用にこのページをブックマークしつつ、申込日を調べてカレンダーに記入しましょう。

よろしければこちらの記事もどうぞ。
【花火職人】就職や転職に有利な2つの資格を紹介します【花火師】

最後に。
この記事をきっかけに、花火職人が増えることを願って。