花火史blog Written by 花火歴史家

明治時代の花火「打粉分量」を読み解く|技藝百科全書より

歴史

打粉量とは?

花火玉の美しい開花には「打粉」の量が重要です。打粉とは花火を打上げるための打上火薬のことで、適切な分量でないと失敗の原因になりかねません。

寸法ごとの推奨打粉量

  • 三寸玉 約35匁
  • 四寸玉 約65匁
  • 五寸玉 約120匁

※いずれも「九・二・一剤」で礫子状にした打粉を前提にしています。

現代との比較・考察

現代でも火薬の分量は重要ですが、明治時代から匁単位で数値が明示されていました。
同じ材料でも粒径などで挙動が変わるため、職人は経験だけに頼らず「分量」を記録していたということでしょうか。

参考文献

  • 『技藝百科全書 第五編』
  • 著:内山正如・野口竹次郎
  • 発行:博文館(1889年)

原文(技藝百科全書より)

▼ 原文を表示する

打粉分量
打粉はあまり多量なると、あまり少量なるとを避け全て度に違ふべからず。
今分量を示すこと左の如し。
三寸 三十五匁内外
四寸 六十五匁内外
五寸 百二十匁内外
右は九、二、一剤の礫子状になしたるものなり。

次回は「竹筒と尾との関係」をご紹介。筒形状が打上に与える影響を探ります。